決して雨の所為だけじゃない

なにもかもが順調でうまくいってることに満足してる人は
ときに棘を刺す。

「もちろん」、故意にではないのだ。

彼らは彼らの親切から、または満足から聞いてほしいという気持ちから
うまくいかず悩んでる人　沈んで迷っている人にむかって
「成功するには」、と助言や提言をしてくれるのだ。
相談や自慢話という形をとってなくとも
言葉の端、appearance、大ぶりなジェスチャー、高めの声なんかによって。
　
それが人生であれ仕事であれ恋についてであれ。
　
　
　
けれど
そういったものを聞いてしまうと
聞く前よりもっと深く傷ついてしまうのはなぜだろう？

自分がなにか物事がうまくいってない、と自覚しているとき
そこを突かれると痛い。
それなのになぜか突かれたことを責めるより
痛く思った自分を隠そうとしてしまう。
　
ある人はその痛みを受けた原因を
別の何かに転嫁して反撃したりする。
またある人はひっそりと
”うまくやる”実行力のない自分を責め嫌悪し落ち込んでいく。
　
　
　
なにもかもがうまくいき満足している人というのは
だからそれだけで時に凶器だ。
　
その人から溢れる「私はやることをきちんとやっている」という自負
そして人生や自分をコントロールできている自信に胸を張りたい気持ちが
正論や一見励ましているような言葉の裏に潜めた
無言の「責め」を
敗者に対する刃として使用できることを彼らは知っている。
　
そうだ。知っているのだ。
　
　
　
　
強いだけの人
挫けたことのない人
思いやりのない人は好きじゃない。
　
けれどたったさっきまで弱者の側にいた人でさえ
油断すると攻撃側に変わっているのだ。　
そう自分だって。
　

　
自己顕示欲とは、かくまで強烈でおそろしいものだ。
　
虚栄心に打ち克つ、という意識をもっていない人を
おそろしく思っている。
　

　
　
　
思いやりを。
いつでも思いやりを。

拡大してくる自分（エゴ）を抑える理性と
相手を慮る想像力をいつでも。どうか。